雨の日の学年主席たち03
- 2008/03/29
- 18:28
階段の上から偶然、一部始終を見たのは幸運だったのだろうか。
私の推察はおそらく当たっているはず。
きっと自分が彼女の立場でも彼は同じようにしてくれたのだろうか。
それとも彼女もおそらく望んだように、もう一押ししてくれただろうか。
目の前の結果に、軽い安堵と嫉妬を覚えた。
彼女はどうやら真実に気づいていない。少なくとも、まだ。
きっと、傘を渡されるときに手を握られた為に思考がトんでしまったのだろう。
それならば、この機会。
「――――佐祐理が頂いちゃいますよっ」
「祐一さんっ」
彼が階段を登りきったところで声をかける。
「おわっ!?…っと、佐祐理さんか」
「はいっ。祐一さんは今帰りですかー?」
「あー…うん、もうすぐ帰るんだけど」
確信した。『彼は今すぐは校舎を出られない』のだ。彼女が十分に校舎から離れるまで。
「佐祐理さんも今帰り?」
ミッションを確実に遂行する為に高速で頭脳を回転させる。ここ数ヶ月、彼を見てきて攻略のために必要であると解かった事が2つある。
「はい。職員室へ行ってプリントを提出したら帰るんですが、一緒に帰りませんか?見たところ祐一さん、傘をお持ちでないようですし」
確実に逃げ道をふさいで、二歩踏み込むこと。
控えめなのも美徳だけれど。それだけではダメですよ、一年生の学年主席さん?
私の推察はおそらく当たっているはず。
きっと自分が彼女の立場でも彼は同じようにしてくれたのだろうか。
それとも彼女もおそらく望んだように、もう一押ししてくれただろうか。
目の前の結果に、軽い安堵と嫉妬を覚えた。
彼女はどうやら真実に気づいていない。少なくとも、まだ。
きっと、傘を渡されるときに手を握られた為に思考がトんでしまったのだろう。
それならば、この機会。
「――――佐祐理が頂いちゃいますよっ」
「祐一さんっ」
彼が階段を登りきったところで声をかける。
「おわっ!?…っと、佐祐理さんか」
「はいっ。祐一さんは今帰りですかー?」
「あー…うん、もうすぐ帰るんだけど」
確信した。『彼は今すぐは校舎を出られない』のだ。彼女が十分に校舎から離れるまで。
「佐祐理さんも今帰り?」
ミッションを確実に遂行する為に高速で頭脳を回転させる。ここ数ヶ月、彼を見てきて攻略のために必要であると解かった事が2つある。
「はい。職員室へ行ってプリントを提出したら帰るんですが、一緒に帰りませんか?見たところ祐一さん、傘をお持ちでないようですし」
確実に逃げ道をふさいで、二歩踏み込むこと。
控えめなのも美徳だけれど。それだけではダメですよ、一年生の学年主席さん?