かおりんの長い一日1
- 2008/04/25
- 22:52
やってしまった。
状況に絶望するよりも、己の所業を信じられないという驚愕の感情の方が遥かに高かった。
一昨日。
おととい全く同じミスをした、栞を笑ったばかりだというのに。
まさか。
まさか、自分がやるなんて。
信じられない。
――――――美坂香里は途方に暮れていた。
着替えの無い、プール更衣室で。
確かに今朝は多少用意が悪かった。というのもこのくせっ毛が大爆発してしまい、直すのに時間を要してしまっていたからだ。
いつもなら多少急いでいても、水着を制服の下に着てくるということはしないのだが、今日は、たまたま。ほんとにたまたま、魔が差した。
しかも着る時は
(栞みたいに着替えを忘れたら笑えるわね)
と思いながらだったというのに、なぜ本当に忘れるか。
このピンチをどう切り抜ける、美坂香里。
悪い事に体操着は自宅だ。
栞に借りる?
いや、こないだその栞を笑ったばかりだ。死ぬほど逆襲してくるだろう。しかも勢い余って相沢くんにばらしかねない。
名雪に借りる?
これは貸してくれそうな気がするが、上はともかく下を地肌に着るので貸してくれ、というのは親友と言えどさすがに気が引ける。しかも天然でやっぱり相沢くんにばらしかねない。
このまま、水着の上に制服を着てしまうか?
栞の取ったこの策は、一日中濡れていて気持ち悪いしなにより制服がびしょびしょで一日さらし者だ。栞には出来ても私のキャラでこれはやれない。
――――――となると。
かくて私は、この一日を苦難と共に過ごす覚悟を決め、タオルにくるまり着替えを始めた。
落ち着いて、私。外から見て、何一つおかしくないわ。
さりげなく、さりげなく席に戻るのよ・・・
「あれ?香里」
「な、何かしら」
「香里、なんかおかしくねぇ?」
なんてカンの良さなのかしらこの馬鹿彼氏はっ!普段はさっぱり鈍感なクセに!?
「そうかしら?何もおかしくないと思うけど」
「いや明らかに挙動不審。おかしいよな、名雪」
「だおー?いつもの香里だと思うけど」
ほら名雪だって分かってないような違いじゃない。ん、ま、まあ名雪でさえわからないような違いを分かってくれる彼氏なのは嬉しいケド(赤)。
「つーか、その手」
手?
「肩でも痛いのか?」
はっ!?無意識に胸元を隠そうとして左手で右肩を押さえてた事に今気づいたわ。
「ん。さっきまでちょっとね。今はもう平気」
透けて見えるわけじゃないんだけど、手を下ろすのにかすかに震えちゃうわね。
「ふ~ん?」
「な、何よ・・・」
そんなにジロジロ見ないでったら。
胸を透視されてるような錯覚。でも祐一にだったらあたしはべつに・・・って、
う、ちょっと感じちゃいそう。
「ま、なんでもないってんならいいんだけどな。もしどっか具合悪いんなら言えよ、心配するからな」
「ありがと。でも平気よ」
にこりと答えて前を向く。
やっと凌いだわ・・・でも心配してくれてるのね、だから好きよ祐一。
4、お昼休み、5、6限。
あと3時限、耐え忍べば。この苦行は終わる。
でも授業中は、比較的気を抜いていられる、はず、なの、だけど。
後 ろ の 視 線 が 気 に な る 。
私の席は後方の窓際、相沢くんの前で、相沢君が最後尾。
要は祐一の視線が気になるってことなんだけど。
ダメ。どーしてもダメ。
ジロジロ裸見られてる気にしかならない(爆)。あたしおかしいのかしら?
でもね?でも祐一になら、見られてもいいのよ?もう何度も全身くまなく見られちゃってるだけじゃなくって好き放題されちゃってるし、えへえへきゃーっ♪
・・・落ち着きましょ、私。
なのに、ただ後ろの席に座られてるだけなのに、なんだか祐一の視線があたしの裸の背中やおしりに絡みついて、舐めまわされているような錯覚を感じる。
チッ。チッ。チッ。チッ。チッ。チッ。チッ。
時間の経過が恐ろしく遅い。
背中がチリチリ灼けるようで、呼吸さえも苦しい。
ダメだ。
考えちゃダメだ。
祐一が、無防備な私に後ろからいたずらしてきたら、なんて考えちゃ
「・・・・・・っ!」
慌てて口を押さえた。
想像だけで、本気で喘ぎ声が出そうだった。
ヤバい。
この妄想はハマりそう。
アノ時の、優しくも小憎らしい祐一の指使いがフラッシュバックする。
祐一の手が、この制服の内側へ潜り込んで来て、体中撫でまわされたらどんなにか気持ちいいだろう。
体験するまでは知らなかった、恋しい人に全身を触れられる快楽は一度味を知ってしまえば病みつきだ。
・・・授業中にこんな事思い出すなんて、あたし、ちょっとおかしい。
落ち着いて、授業に集中。
なんて、できない――――――
状況に絶望するよりも、己の所業を信じられないという驚愕の感情の方が遥かに高かった。
一昨日。
おととい全く同じミスをした、栞を笑ったばかりだというのに。
まさか。
まさか、自分がやるなんて。
信じられない。
――――――美坂香里は途方に暮れていた。
着替えの無い、プール更衣室で。
確かに今朝は多少用意が悪かった。というのもこのくせっ毛が大爆発してしまい、直すのに時間を要してしまっていたからだ。
いつもなら多少急いでいても、水着を制服の下に着てくるということはしないのだが、今日は、たまたま。ほんとにたまたま、魔が差した。
しかも着る時は
(栞みたいに着替えを忘れたら笑えるわね)
と思いながらだったというのに、なぜ本当に忘れるか。
このピンチをどう切り抜ける、美坂香里。
悪い事に体操着は自宅だ。
栞に借りる?
いや、こないだその栞を笑ったばかりだ。死ぬほど逆襲してくるだろう。しかも勢い余って相沢くんにばらしかねない。
名雪に借りる?
これは貸してくれそうな気がするが、上はともかく下を地肌に着るので貸してくれ、というのは親友と言えどさすがに気が引ける。しかも天然でやっぱり相沢くんにばらしかねない。
このまま、水着の上に制服を着てしまうか?
栞の取ったこの策は、一日中濡れていて気持ち悪いしなにより制服がびしょびしょで一日さらし者だ。栞には出来ても私のキャラでこれはやれない。
――――――となると。
かくて私は、この一日を苦難と共に過ごす覚悟を決め、タオルにくるまり着替えを始めた。
落ち着いて、私。外から見て、何一つおかしくないわ。
さりげなく、さりげなく席に戻るのよ・・・
「あれ?香里」
「な、何かしら」
「香里、なんかおかしくねぇ?」
なんてカンの良さなのかしらこの馬鹿彼氏はっ!普段はさっぱり鈍感なクセに!?
「そうかしら?何もおかしくないと思うけど」
「いや明らかに挙動不審。おかしいよな、名雪」
「だおー?いつもの香里だと思うけど」
ほら名雪だって分かってないような違いじゃない。ん、ま、まあ名雪でさえわからないような違いを分かってくれる彼氏なのは嬉しいケド(赤)。
「つーか、その手」
手?
「肩でも痛いのか?」
はっ!?無意識に胸元を隠そうとして左手で右肩を押さえてた事に今気づいたわ。
「ん。さっきまでちょっとね。今はもう平気」
透けて見えるわけじゃないんだけど、手を下ろすのにかすかに震えちゃうわね。
「ふ~ん?」
「な、何よ・・・」
そんなにジロジロ見ないでったら。
胸を透視されてるような錯覚。でも祐一にだったらあたしはべつに・・・って、
う、ちょっと感じちゃいそう。
「ま、なんでもないってんならいいんだけどな。もしどっか具合悪いんなら言えよ、心配するからな」
「ありがと。でも平気よ」
にこりと答えて前を向く。
やっと凌いだわ・・・でも心配してくれてるのね、だから好きよ祐一。
4、お昼休み、5、6限。
あと3時限、耐え忍べば。この苦行は終わる。
でも授業中は、比較的気を抜いていられる、はず、なの、だけど。
後 ろ の 視 線 が 気 に な る 。
私の席は後方の窓際、相沢くんの前で、相沢君が最後尾。
要は祐一の視線が気になるってことなんだけど。
ダメ。どーしてもダメ。
ジロジロ裸見られてる気にしかならない(爆)。あたしおかしいのかしら?
でもね?でも祐一になら、見られてもいいのよ?もう何度も全身くまなく見られちゃってるだけじゃなくって好き放題されちゃってるし、えへえへきゃーっ♪
・・・落ち着きましょ、私。
なのに、ただ後ろの席に座られてるだけなのに、なんだか祐一の視線があたしの裸の背中やおしりに絡みついて、舐めまわされているような錯覚を感じる。
チッ。チッ。チッ。チッ。チッ。チッ。チッ。
時間の経過が恐ろしく遅い。
背中がチリチリ灼けるようで、呼吸さえも苦しい。
ダメだ。
考えちゃダメだ。
祐一が、無防備な私に後ろからいたずらしてきたら、なんて考えちゃ
「・・・・・・っ!」
慌てて口を押さえた。
想像だけで、本気で喘ぎ声が出そうだった。
ヤバい。
この妄想はハマりそう。
アノ時の、優しくも小憎らしい祐一の指使いがフラッシュバックする。
祐一の手が、この制服の内側へ潜り込んで来て、体中撫でまわされたらどんなにか気持ちいいだろう。
体験するまでは知らなかった、恋しい人に全身を触れられる快楽は一度味を知ってしまえば病みつきだ。
・・・授業中にこんな事思い出すなんて、あたし、ちょっとおかしい。
落ち着いて、授業に集中。
なんて、できない――――――