雨の日の学年主席たち01
- 2008/03/29
- 18:21
雨の日の学年主席たち01
目の前一面に降り注ぐ水の粒。グラウンドが煙る、秋の雨。
この季節、予想できなかったわけではなかった。
しかし、現実に今傘が無く昇降口で呆然としている。
今朝はあの子が来て引っ張られてしまった為にテレビの天気予報を見逃してしまった。
ついでに今朝の星占いも。
彼女はいつだって唐突だ。
春の午後に昼寝をしていれば、「今からお花見なのよぅー!」とたたき起こされる。
夏の夜に夕食の片づけをしていれば「美汐も線香花火でしょーぶよっ!」と連れ出され。
今朝は「保育園の子たちとラジオ体操よーっ!」と朝食中に飛び込んできた。
迷惑な事もあるのだが、「拒否する」という選択肢にはまずたどり着かない。
なんだかんだ言って私は彼女にはダダ甘なのだ。
…最近ナメられているような、とちらっと頭をよぎるとだんだん確信めいてきたので考えるのをやめた。
なににせよ、現在傘が無いという事態には変わりは無い。常備している置き傘さえもここ数日の雨で既に家に持ちかえってしまっている。
そのため、ここで立ち往生しているわけなのだが―――この雨、弱くなる事はあっても
やみそうには無く見える。だれかに傘を貸してくれるように頼むか。
同級生の、ストールとスケッチブックがトレードマークのアイス少女が候補にあがる。
しかし彼女は昼休みに「えうぅ~傘忘れましたぁ~」と姉の元へ駆けていったはずだ。
加えて彼女と私の家はほぼ反対方向。一緒に入れてもらうわけにもいかない。
―――結局、濡れて帰るしかないですね。
所詮、雨宿りなんて飛び出すための心の準備をする場所でしかない。
小さくため息をついて下駄箱に手をかけたところでふと、都合のいい夢想が頭を掠めた。
しかしそんな都合よく事が進むはずが無い、と軽く失笑する。
それではまるで、真琴に押し付けられて読んだ漫画の一場面そのものではないか。
最近、夢見がちにも程がある。天野美汐は現実主義者ではなかったか。
…そもそも彼は帰宅部だ。
私よりも早く帰っているだろうし、なにより水瀬先輩と美坂先輩ががっちりガードしているに決まってる。
一人で帰って、しかも傘を持っていて、
「―――お?なんだ天野、今帰りか?」
と声をかけられる事なんて。
ああ真琴。今朝ばかりはテレビの星占いを見る間くらい待ってほしかった。
今日が最高の運勢だなどと知っていたら色々策を練ってきたものを。
目の前一面に降り注ぐ水の粒。グラウンドが煙る、秋の雨。
この季節、予想できなかったわけではなかった。
しかし、現実に今傘が無く昇降口で呆然としている。
今朝はあの子が来て引っ張られてしまった為にテレビの天気予報を見逃してしまった。
ついでに今朝の星占いも。
彼女はいつだって唐突だ。
春の午後に昼寝をしていれば、「今からお花見なのよぅー!」とたたき起こされる。
夏の夜に夕食の片づけをしていれば「美汐も線香花火でしょーぶよっ!」と連れ出され。
今朝は「保育園の子たちとラジオ体操よーっ!」と朝食中に飛び込んできた。
迷惑な事もあるのだが、「拒否する」という選択肢にはまずたどり着かない。
なんだかんだ言って私は彼女にはダダ甘なのだ。
…最近ナメられているような、とちらっと頭をよぎるとだんだん確信めいてきたので考えるのをやめた。
なににせよ、現在傘が無いという事態には変わりは無い。常備している置き傘さえもここ数日の雨で既に家に持ちかえってしまっている。
そのため、ここで立ち往生しているわけなのだが―――この雨、弱くなる事はあっても
やみそうには無く見える。だれかに傘を貸してくれるように頼むか。
同級生の、ストールとスケッチブックがトレードマークのアイス少女が候補にあがる。
しかし彼女は昼休みに「えうぅ~傘忘れましたぁ~」と姉の元へ駆けていったはずだ。
加えて彼女と私の家はほぼ反対方向。一緒に入れてもらうわけにもいかない。
―――結局、濡れて帰るしかないですね。
所詮、雨宿りなんて飛び出すための心の準備をする場所でしかない。
小さくため息をついて下駄箱に手をかけたところでふと、都合のいい夢想が頭を掠めた。
しかしそんな都合よく事が進むはずが無い、と軽く失笑する。
それではまるで、真琴に押し付けられて読んだ漫画の一場面そのものではないか。
最近、夢見がちにも程がある。天野美汐は現実主義者ではなかったか。
…そもそも彼は帰宅部だ。
私よりも早く帰っているだろうし、なにより水瀬先輩と美坂先輩ががっちりガードしているに決まってる。
一人で帰って、しかも傘を持っていて、
「―――お?なんだ天野、今帰りか?」
と声をかけられる事なんて。
ああ真琴。今朝ばかりはテレビの星占いを見る間くらい待ってほしかった。
今日が最高の運勢だなどと知っていたら色々策を練ってきたものを。