ブラインド・デート再び!04
- 2008/03/30
- 18:42
三月とはいえ、まだ寒い。ユリ子は黄緑色の薄手のロングコート姿、横島は・・・いつも通りで通りを歩いてゆくが、その表情は珍しく思案顔だ。
「・・・とは言っても、実は彼女の好みってあんま知らんのだよなー」
独り言のようにつぶやく。
なにより彼女は欲が無い。無さ過ぎる。
困った。
アテは・・・・・・一箇所あるが、正直あまり行きたくない。苦い思い出が蘇る。が、背に腹は変えられないと覚悟を決める。
「ユリ子ちゃん、一軒一応それらしい店は知ってるんだけど行ってみようか」
渋い表情で横島が誘った。
街中にマッチしない、和風の造りの店。
(ぱらぴらぽー♪)
『怖がる事ないのよタカシくん。今度こそブラをはずしてちょうだい。』
『せ、先生!?またっ!?』
「今度こそ!今度こそ行くよろし!!」
『僕、ぼく・・・!せ、先生っ!』
タカシが先生に手を伸ばしたその時!
ちゃーらーらー♪
”つづく”
「「なめとんのかボケー!」」店の番台に座る小男と横島がハモる。
「最近のテレビは引っ張りすぎやー!!」
「・・・・・・この人たち進歩しないのかしら・・・」
ユリ子が横に引いた目で二人を見つめていた。
「ってワケでさー、なんかいいのねえか?」
「と言われてもウチはオカルトアイテム屋アルからなー。ぼうずまた織姫のトコへ
いくアルか?」
「それだけは勘弁」
過剰に引く横島をいぶかしく思いながら、ユリ子はショーケースを物色した。と、あるもので目が止まる。
「あっ!あれがいいです」
ユリ子が指差した・・・ものは。
「毎度ありー。令子ちゃんによろしくアルー」
「♪」
ユリ子は嬉しそうに厄珍印の紙袋を抱えて歩き出した。ちょっと遅れて、引きつった笑いを浮かべて横島が続く。その、紙袋の中にあるものは。
『特上線香50本入り (慰霊力抜群!安らぎの薫り!)』
「確かにおキヌちゃんだしそーゆーのでもいいかもしれないけどもっとこーなんか・・・ホラ、あるだろっ!?」
「そーですか?」
一瞬きょとんとした表情でユリ子が小首をかしげた。しかし直ぐに大輪の笑顔が広がる。
「・・・そーですねっ!じゃ、そこの中武百貨店に行ってみましょ!」
きゅっ。
「!」
それは、大分人通りも増えた街中をはぐれずに歩くには必要な事かもしれない。
それでも、横島は一瞬ドキッとしていた。
先を歩いて横島の手を引っ張るユリ子の顔は、横島には見えない。
(ゴメンね。でも手をつなぐぐらいだったら許してくれるよね?)
ユリ子は振り向かない。薄紅色に染まった頬を見られたくない。
だから。
「ゆ、ユリ子ちゃん・・・!ちょっと待って・・・!」ずるずるずるずる!!
横島が電柱に激突していても気づかなかった。
横島の頬とか色々が別の意味で薄紅色だった。
「・・・とは言っても、実は彼女の好みってあんま知らんのだよなー」
独り言のようにつぶやく。
なにより彼女は欲が無い。無さ過ぎる。
困った。
アテは・・・・・・一箇所あるが、正直あまり行きたくない。苦い思い出が蘇る。が、背に腹は変えられないと覚悟を決める。
「ユリ子ちゃん、一軒一応それらしい店は知ってるんだけど行ってみようか」
渋い表情で横島が誘った。
街中にマッチしない、和風の造りの店。
(ぱらぴらぽー♪)
『怖がる事ないのよタカシくん。今度こそブラをはずしてちょうだい。』
『せ、先生!?またっ!?』
「今度こそ!今度こそ行くよろし!!」
『僕、ぼく・・・!せ、先生っ!』
タカシが先生に手を伸ばしたその時!
ちゃーらーらー♪
”つづく”
「「なめとんのかボケー!」」店の番台に座る小男と横島がハモる。
「最近のテレビは引っ張りすぎやー!!」
「・・・・・・この人たち進歩しないのかしら・・・」
ユリ子が横に引いた目で二人を見つめていた。
「ってワケでさー、なんかいいのねえか?」
「と言われてもウチはオカルトアイテム屋アルからなー。ぼうずまた織姫のトコへ
いくアルか?」
「それだけは勘弁」
過剰に引く横島をいぶかしく思いながら、ユリ子はショーケースを物色した。と、あるもので目が止まる。
「あっ!あれがいいです」
ユリ子が指差した・・・ものは。
「毎度ありー。令子ちゃんによろしくアルー」
「♪」
ユリ子は嬉しそうに厄珍印の紙袋を抱えて歩き出した。ちょっと遅れて、引きつった笑いを浮かべて横島が続く。その、紙袋の中にあるものは。
『特上線香50本入り (慰霊力抜群!安らぎの薫り!)』
「確かにおキヌちゃんだしそーゆーのでもいいかもしれないけどもっとこーなんか・・・ホラ、あるだろっ!?」
「そーですか?」
一瞬きょとんとした表情でユリ子が小首をかしげた。しかし直ぐに大輪の笑顔が広がる。
「・・・そーですねっ!じゃ、そこの中武百貨店に行ってみましょ!」
きゅっ。
「!」
それは、大分人通りも増えた街中をはぐれずに歩くには必要な事かもしれない。
それでも、横島は一瞬ドキッとしていた。
先を歩いて横島の手を引っ張るユリ子の顔は、横島には見えない。
(ゴメンね。でも手をつなぐぐらいだったら許してくれるよね?)
ユリ子は振り向かない。薄紅色に染まった頬を見られたくない。
だから。
「ゆ、ユリ子ちゃん・・・!ちょっと待って・・・!」ずるずるずるずる!!
横島が電柱に激突していても気づかなかった。
横島の頬とか色々が別の意味で薄紅色だった。