今日の我らが生徒会長02
- 2008/03/29
- 23:59
「ええ、会議は――――――――――」
カチッ。
四時零分。
私が席に戻って二分後。
坂上会長は、その瞬間会議用の長机に両拳とともに突っ伏した。
あ、動き出した。
顔を伏せたまま、ぐしぐしと拳で目を擦る。あー泣いてる、泣いちゃったよ。
………数秒後、きっ、と顔を上げた。少し目が赤い。
拗ねた様な、泣くのを堪えているような表情で、少し硬い声で口を開いた。
「では、次の議題の―――――――――
「ああ、ちょっと疲れたな。では十分間の休憩とする。えーと、四時十分からの再開とする」
のを、副会長が遮った。
唐突と言えば唐突だ。が、誰も異議をさしはさまず、阿吽の呼吸っぽく席を立っていく。っていうかむしろ救われたよ堪らんわこんな空気、ってな表情が目立つ。
我らが会長は、数秒目を丸くして呆けていたが、はっと我に返り直ぐに会議室を飛び出して駆けて行った。
どこへかなんて、まあ、そんなの聞くだけ野暮な訳で。
「―――――――ということで四時に一旦休憩を取りますので、その時会長が来る、と思います」
まあ「思います」は99%不要で確実に来ますけど。
「そっか。いつもありがとな弘子ちゃん」
と言って岡崎さんはにこ、と笑った。
「い、いえ」
ヤバイ、今のはかっこ良かった。夕日に照らされた顔がとても綺麗で。
かあ、と顔が熱くなる。
一度会長にとっ捕まって、砂吐きまくりのダダ甘ノロケを延延と聞かされたが、確かに素敵だ。
しかも既に会長の彼氏だというのにいまだに彼女の座を狙っている連中がいるそうで、じゃぁ私も参戦しようかなぁー、と冗談で言ってみたら。
やめておけ………?
と底冷えのする、目が笑っていない極上の笑顔で会長に微笑まれた。
乙女開業15年、そろそろ恋もしたいが命も惜しいし、あれだけの魅力を備えた会長と争って勝てる気もしない。
それゆえ、私は伝令係の役割を果たしながらも極力彼とは接触しないよう心がけてきた。
「では失礼しまーす」
ささっと岡崎さんと距離を取り、会議室へ戻ろうとして。ふと思い出し、私は余計な事を言ってしまった。
「あの」
「あ?」
「会長、最近忙しくて大分ストレスを溜められてるようです……のでその、癒してあげて下さいね?」
岡崎さんは二秒くらい目を丸くしたあと、ニヤリと笑ってこう言った。
「ああ。任しとけ」
ビッ、と親指を立てていた。
ホントに他意は無かったのだ。この時私は。
時刻は四時十分。
会長は、上気した顔と潤んだ瞳でフラフラしながら会議室へ帰ってきた。
つーかスカートからはみ出たブラウスくらい直してから戻ってきて頂けると下級生の教育上有難いのですが。
癒しは必要だと言いましたが、いやらしが必要だとは申し上げなかったはずですが岡崎さん?
―――――坂上先輩は我らが生徒会の会長である。
最近ちょっと色ボケ激しいけど愛すべき先輩である、まる。
END
カチッ。
四時零分。
私が席に戻って二分後。
坂上会長は、その瞬間会議用の長机に両拳とともに突っ伏した。
あ、動き出した。
顔を伏せたまま、ぐしぐしと拳で目を擦る。あー泣いてる、泣いちゃったよ。
………数秒後、きっ、と顔を上げた。少し目が赤い。
拗ねた様な、泣くのを堪えているような表情で、少し硬い声で口を開いた。
「では、次の議題の―――――――――
「ああ、ちょっと疲れたな。では十分間の休憩とする。えーと、四時十分からの再開とする」
のを、副会長が遮った。
唐突と言えば唐突だ。が、誰も異議をさしはさまず、阿吽の呼吸っぽく席を立っていく。っていうかむしろ救われたよ堪らんわこんな空気、ってな表情が目立つ。
我らが会長は、数秒目を丸くして呆けていたが、はっと我に返り直ぐに会議室を飛び出して駆けて行った。
どこへかなんて、まあ、そんなの聞くだけ野暮な訳で。
「―――――――ということで四時に一旦休憩を取りますので、その時会長が来る、と思います」
まあ「思います」は99%不要で確実に来ますけど。
「そっか。いつもありがとな弘子ちゃん」
と言って岡崎さんはにこ、と笑った。
「い、いえ」
ヤバイ、今のはかっこ良かった。夕日に照らされた顔がとても綺麗で。
かあ、と顔が熱くなる。
一度会長にとっ捕まって、砂吐きまくりのダダ甘ノロケを延延と聞かされたが、確かに素敵だ。
しかも既に会長の彼氏だというのにいまだに彼女の座を狙っている連中がいるそうで、じゃぁ私も参戦しようかなぁー、と冗談で言ってみたら。
やめておけ………?
と底冷えのする、目が笑っていない極上の笑顔で会長に微笑まれた。
乙女開業15年、そろそろ恋もしたいが命も惜しいし、あれだけの魅力を備えた会長と争って勝てる気もしない。
それゆえ、私は伝令係の役割を果たしながらも極力彼とは接触しないよう心がけてきた。
「では失礼しまーす」
ささっと岡崎さんと距離を取り、会議室へ戻ろうとして。ふと思い出し、私は余計な事を言ってしまった。
「あの」
「あ?」
「会長、最近忙しくて大分ストレスを溜められてるようです……のでその、癒してあげて下さいね?」
岡崎さんは二秒くらい目を丸くしたあと、ニヤリと笑ってこう言った。
「ああ。任しとけ」
ビッ、と親指を立てていた。
ホントに他意は無かったのだ。この時私は。
時刻は四時十分。
会長は、上気した顔と潤んだ瞳でフラフラしながら会議室へ帰ってきた。
つーかスカートからはみ出たブラウスくらい直してから戻ってきて頂けると下級生の教育上有難いのですが。
癒しは必要だと言いましたが、いやらしが必要だとは申し上げなかったはずですが岡崎さん?
―――――坂上先輩は我らが生徒会の会長である。
最近ちょっと色ボケ激しいけど愛すべき先輩である、まる。
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