さて先日、あたしは衛宮に対してある権利を手に入れた。
衛宮は先日、あたしに対してある行為を行う保証をした。
それはそのうち行使してみようかなぁと思ってはいた。
しかしそれは行使の価値があるのだろうか。一時の気の迷いっぽい気がするような気がしないでもない。なんつーか、互いに。
ホント行使する意味、あるんだろうか。
そこらへん今ひとつ明確にされていないとおもうわけよ、あたしは。
ならまあ、あれよ。ちょっと実験やってみて、行使の要否について脳内右派と左派の協議の時間を設けてみてもいいのではと。
これは断じていきなりかますのは恥ずかしくて出来ないとか実際やれと言って引かれたらかなりイタいとかの言い訳ではなく、勿論あたしはヘタレなどではない。ねーんだよ。
まず弓道場の更衣室にて適当なサンプルを見つけた為、実験を実施してみた。
「ああ、間桐間桐」
「なんですか、美綴先輩?」
ちょっとこっちこっち、と手招きすると従順なるモルモットAがやって来た。
「ちょっと後ろ向いて」
「はい?こうですか」
「そうそうそのまま」
わしっ。
「わぁっ!?な、なんですか先輩!」
「いや、ちょっと実験」
「なんのですか!?」
間桐を軽く羽交い絞めにしてみた。・・・うーんこれはなかなか悪くない。
モルモットAがじたばたして不安定なのでちょっと持ち方を変えてみよう。
むにょるん。
「・・・ひ、」
なんか妙にでかい肉まんを掴んだ様な感触がしたところでモルモットAは悲鳴を上げて暴れたので止むを得ず実験を終了し解放した。
あとなんかちょっとムカついた。女的に。
モルモットは気性の大人しいものを選ぶべきだと学習したあたしは次のサンプルを求めた。
「三枝、ちょっといい?」
「なにかな?美綴さん」
むぎゅっ。
「!?、はわわわわっ!?」
今度は正面から行ってみた。あ、これもなかなかいい。
なんていうか、保護欲をそそられる。ネコとかリスとか抱いてるみたいな。
「オイオイオイ!うちの踊り子さんに手を触れるならアタシを倒すかあんみつ一杯奢るかしてからだぜ!?」
「まーまーちょっとだけ」
三枝に奢れというのはやぶさかじゃないが蒔寺に奢るっつーのはなんなのか。
「蒔ちゃん、私踊りなんて踊れないよぅ」
三枝も突っ込むところはそこなのか。
「――――しかし突然どうしたのかね?美綴嬢は」
「へ?」
机に片肘をつき静かな微笑を絶やさぬまま、聞いてきたのは氷室だった。